とりとめなく書いたため、俺自身が何を言いたいのか迷子なのですが、新鮮なうちに記事として出しておきます。
カウンセリングの実施状況と対象病名
彼氏は家の近くの精神科クリニックに通院しています。
そのクリニックには臨床心理士が在籍し、2週間に1回のカウンセリングを30分受けることができます。
医療機関でのカウンセリングだからか割安です(俺の勤める公的病院の精神科カウンセリングはもっとします)。
彼氏は適応障害の診断名を受けました。適応障害はWikipediaで以下のように記載されています。
はっきりと確認できるストレス因子により、著しい苦痛や機能の障害が生じており、そのストレス因子が除去されれば症状が消失する特徴を持つ精神障害である。
適応障害 Wikipedia
彼氏は職場での環境変化によって発症しました。職場以外ではほとんど問題なく過ごすことができます。よって薬物療法はそれほど意味がないと、俺の勤める病院の精神科医から聞きました。ただ、職場を思うことでつらい気持ちになるのであれば服薬しても良いと思う、との見解で、彼氏は眠前に薬を服用しています。
自分の気持ちや精神状態を話しながら、セルフコンパッションについて教えてもらったり、リワークについて申請を検討したりする機会となり、医療という観点では望ましい対応ができていると思うので、これからも継続していきたいと彼氏も考えているようです。俺も賛成しています。
精神科領域における同性愛の取り扱い
そのため「カウンセリングに求めることは復職に関することだけ」と彼氏は考えていたのですが、医師や臨床心理士は、やはり専門職として多角的に彼氏を捉えようとしてくれたようです(良いことなんですけどね)。
診察の場では成育歴と既往、家族関係、職場関係について確認を受けるのは精神科ではほぼマストです。彼氏は俺との関係を「聞かれたら言おう」と思っていたところ、質問の流れの中で伝えたほうがいいと感じて「ゲイです」と言って、「ああ、同性愛」と医師に言われ、その言葉のチョイスに少なからずショックを受けたと言いました。そして「もう病気じゃないからいいけど、それに伴う困りごとがあったら言ってね」と続けたのです。
というのも、国際疾病分類(ICD-10)には、同性愛が治療の対象として長く収載されていました。1990年5月7日にWHOが除外していますが、精神科医療の領域では治療対象としていたため、国家試験をそれまでに受けていた医師は国司対策で勉強していたのです。ICD-10について彼氏も知っていたようですが、明け透けな言い方にはつらいものがあったみたいです。
ゲイは別れやすい? 希薄な関係を心配された
カウンセリングの臨床心理士は、俺と彼氏の関係性を特に気にしていたそうです。血族である父親と妹には休職していること自体を伝えていなかったため、同居する俺との関係性が希薄であった場合、それに応じた対応を要すると考えたようでした。
幸いというか、俺と彼氏は順調に生活を共にしていたため、臨床心理士の先生も安心されたそうです。
「私、同性愛をカミングアウトされた方と実際にお話しするのは初めてなんです。ゲイの方々って、別れやすいと聞いたことがあって、気になりました」と言われ、彼氏は思わず笑ったそうです。
同性間での付き合いを、希薄な関係と捉える一般人は多いのではないかと思います。俺自身、同性パートナーシップを結んだ時の人たちや、身近な友人たちが別れるのを目の当たりにしている中で、自分たちも紙一重ではないかと感じることもありました。同棲のための家探し中、不動産会社から「同棲カップルはすぐ分かれて家賃が支払えなくなる人が多いから」と断られたことがあります。
※もちろん男女間でも離婚という選択をする人も多いでしょう。俺の母親も、俺が生まれてすぐに離婚し、シングルマザーとなっています。
そのため、ストレス因子である職場以外の安寧の場である家庭環境を、臨床心理士としては確認しなければならなかったのでしょう。そして同性愛そのもの、同性愛から波及する社会問題として性生活について、さらには将来の展望までもが対象となったようで、復職のことだけ相談したかった彼氏は最初、面くらったようです。
患者と医療者はお互いに歩み寄る必要がある
今では臨床心理士とラポール(信頼関係)が形成され、彼氏自身の気持ちの動きや気になることについて何でも相談できる場になっているようです。ただ、彼氏なりにカウンセリングの時間に対する「あり方」については模索し、「適応」しようとしたようです。
「相手に教えてもらう」というアプローチ方法が、心理・福祉・医療・保健領域にあります。相手のことは相手が一番知っている、を頭にして理解を深めていくやり方です。臨床心理士は彼氏にそれをしたし、彼氏も臨床心理士の同性愛に関する理解具合を確かめながら、言葉の意味の捉え違いがないようにすり合わせをしているそうです。
カウンセリングは特殊な癒しの場ではなく、語りの中で自己整理や準備の助けとなる場であることを、今回の彼氏の利用で俺も改めて知ることになりました。
復職のタイミングやリワークについてなど、精神科クリニックの得意分野を経験則から聞かせてもらうことができるのは彼氏に合っていたように思います。
ただ、ゲイ患者の受診が特殊であった今回の精神科クリニックでは、少し理解を得るのに回数を要したのも事実です。むしろ今回は、ゲイであることは全く問題ないことでした。お互いに相手を理解し、継続して関係性を積み上げることで、良好なセッションにつながるのかなあと、ぼんやり思いました。
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